笠ケ岳登山記
台風14号は大きく反れ日本の東方海上に去った。9月21日は室戸台風、
9月26日は洞爺丸台風、伊勢湾台風が本土を縦断し大きな被害を与えたので台風特異日と言われる。
この時期に台風の進路が大きく変わったのも温暖化現象の影響かと思いながら、
今回は大丈夫だろうと、前週強風雨で撤退した笠ヶ岳に再度チャレンジ。
シルバーウィーク5連休の最初の日なので4時半に横須賀を発つ。
交通情報では早くも東名沼津、東北上河内で20キロ近い渋滞。幸いに中央はほとんど渋滞が無く松本ICまでは順調。
ICを降りると158号線が渋滞。原因は分からない。
この状態が30分も続くのなら戻って乾徳山にでも登ろうかと話している内に渋滞は解消。
新穂高へは9時半頃着く。
先週停めることの出来た無料駐車場は朝3時には満車になったと係員が言う。
これだけでも山小屋の大混雑が予想される。
9時50分登り始める。途中追いついたかなり年上と思われる登山者と話しながらゆっくり進む。
今日はわさび平小屋で友人を待ち双六、三俣蓮華、鷲羽、水晶と裏銀座を縦走すると。
失礼ながら年を聞いたら72歳と。男の健康年齢の限界。
自分はこのままの体型では絶対に無理だろう。
日常生活を真剣に律して行かなくては完全に無理。
わさび平小屋で昼食。来る前に荷物の用意をしていたらコップが無い。最近本当に良く忘れる。
可能性のあるのはここしかないので駄目もとで、
「先週ここに泊まったのですが・・・」と聞いたら、ある。 信じられない。
山男は素晴らしいと再認識。
わさび平小屋の外にあるテーブルはほとんど埋まっていた。皆さんゆっくりしている。
ここ泊まりなのだろうか。
当初予定していた笠新道は日本アルプス3大急登と言われている。体力を考え、
距離はあるが比較的楽と思われるルートに変更。
泊まりの鏡平小山では3時間半。いたどり平、ししうど平と登りが続くが、
時間的に余裕があったので遅めのペース。
息が切れる事は無かった。登る人より下る人のほうが多い。
わさび平小屋泊まりか、それとも無理をして自宅に帰るのだろうか。
小屋まで数百メートルのところに登山者の一人が靴を脱ぎ、太腿からふくらはぎまでをしきりに擦っている。
痙攣を起こしたらしい。3人できたと言うが二人は先に行ってしまったと言う。
一人残り一人が山小屋に連絡すべきだと思うのだが。
連れがバンテリン軟膏を渡す。たっぷり塗って入念に揉んでいたが、かなり辛い様子。あと少しだから頑張って、ゆっくり来て下さいと言って先に行く。
最後の斜面を登り切ると右手間近に槍、穂高が迫って来る。槍は尖り、穂高はでかい。
チェックインすると食事は7時15分と告げられる。
普通なら5時食事で8時には消灯なのに。今晩は5thシッティングまである由。
最後の夕食は8時。
収容人員120名に対し2倍以上の登山者がいるのでは仕方が無いだろう。時間が有りすぎる。
例によって小屋の外のテーブルで槍穂を酒の肴に飲み始める。2人で飲んでいたが、席を探していた若夫婦を隣へ誘う。
陽が陰ってきたので寒くなった。ウィンドブレーカーにフリースを羽織ってちょうど良いくらい。
双六、三俣蓮華方面から霧が降りてくるが、槍穂の中腹より下に降り夕日に映えた山並みがくっきりとその姿を楽しませてくれる。先ほど倒れていた登山者が御礼にと言ってポケット瓶を差し入れてくれたので、気が付いたら槍穂がシルエットになるまで、トータル1本以上飲んでしまった。
山小屋の食事は概して期待はずれのことが多い。
ここの食事は翌日頼んだ2色の弁当も含め優の部類に入るだろう。空いていたらここでもおかずを肴に酒が進んだことだろう。
定員の倍以上の宿泊客だから蒲団は二人に一組。この年になってからアラカンの友と寝床を一緒にするとは思っても見なかった。ただ隣に寝るだけで恋人同士なら期待に胸を躍らせる事だろう。
一度目覚めるとあちらこちらかの鼾で再び寝付くのが難しい。もっとも小生の鼾は半端でないらしいので文句を言えた義理ではないが。
弁当を2つ頼んだ理由は朝食が5時からで早い者勝ち。250人近くの登山客がいるので何時に起き、どれくらい並んだらよいか予測が付かない。
日の出は5時半過ぎなのでそれまでに小屋を発ちたい。小屋を出ると快晴。
小槍、槍、中岳、南岳、長谷川ピーク、大キレット、それに続く北穂高、奥穂高、ジャンダルム、西穂高と続く穂高連峰の雄大な姿が眼前に迫る。本当にラッキーだった。彼らは今日一日中その姿を隠すことは無かった。
今年は本当に天候に恵まれなかったが、お釣を返し過ぎてもらったような気分。
5時20分鏡平小屋を出る。弓折乗越までの小一時間の辛い最後と気合を入れ、気を引き締めて登る。乗越は峠、コルと同じ意味。
槍穂を眺めながら朝食。近頃山小屋の弁当の中では白眉。
お酒が欲しいくらいであった。少しご飯が硬めだったが全て平らげる。
これからは雲上散歩と思ったが意外と上り下りが厳しい。それでも左に槍穂、左前方に焼岳、乗鞍岳、御岳、右前方から後方へ白山、黒部五郎、薬師岳、水晶岳、
鷲羽岳、双六岳、三俣蓮華岳を見ながらなので疲れを感じない。
笠新道の出会いで笠ケ岳山荘に泊まるか新穂高温泉まで一気に下るか、結論を迫られる。
出会いから往復約3時間。泊まる場合11時過ぎに今日の仕事?は終わる。酒好きの二人とはいえお天道様が天頂に付く前に飲み始め、夕方まで続けるのは後ろめたいし、身体にも良くない。
笠新道を下る事にする。ザックを下ろしペットボトル一つを持って笠ケ岳頂上へ向かう。10時50分笠ケ岳に到達。頂上からはさらに数え切れない名山が望まれた。甲斐駒ケ岳の左手に富士山、右へ北岳、仙丈岳、間ノ岳、塩見岳、荒川三山。
槍穂高の壁が無ければ更に20以上の名山が望めたに違いない。それを望むのは無理と言うもの。
このような天気にはもう2度と会えることは無いのだから。新穂高温泉に泊まるとなるとシルバーウィークの真っ只中。旅館、ホテル、民宿は満杯に違いない。
我が友は用意が良い。15軒以上の民宿などの電話番号をメモして来た。トライ続けること8件。
やっと空きを見つける。
焼岳の里という民宿。内容はどうでもよい。
温泉でゆっくり汗を流せればそれで良い。
笠新道の降り口で昼飯。杓子平までは垂直に感じるほどの急斜面。皆さん息を切らせて上ってくる。
1時前に下り始める。笠新道は下りでも神経を使うほどだから登る人は大変であろう。
我々の下りは順調だった。途中上り口まであと1時間くらいのところでこれから登っていく人に会う。
そのペースを考えると到底暗くなる前に笠ヶ岳山荘に着く無理。7時は優に過ぎるであろうと予想されるので他人事ながら心配になった。
温泉、酒と思いながら下り笠新道の登山口に付いたのが16時15分。
タイムテーブルとり1時間近く早い。新穂高ロープウェイ駐車場に着いたのは17時15分。
今日は食事時間を入れて12時間以上歩いた事になる。こんなしんどいスケジュールは飯豊山縦走以来。膝が良く持ってくれた。
民宿まで数分。空きがあっても当然?という感じであったが、掛け流しの露天風呂は良し単純硫黄泉でツンと鼻をついてくるのが良い。
しかも噴煙を流している焼岳は目の前にでんと構えている。いわなの骨酒これまた良し、食事も値段の割にはコストパーフォーマンスが良かった。露天風呂は24時間入れるので足を揉み揉み何回浸かったろうか。
台風14号は大きく反れ日本の東方海上に去った。9月21日は室戸台風、
9月26日は洞爺丸台風、伊勢湾台風が本土を縦断し大きな被害を与えたので台風特異日と言われる。
この時期に台風の進路が大きく変わったのも温暖化現象の影響かと思いながら、
今回は大丈夫だろうと、前週強風雨で撤退した笠ヶ岳に再度チャレンジ。
シルバーウィーク5連休の最初の日なので4時半に横須賀を発つ。
交通情報では早くも東名沼津、東北上河内で20キロ近い渋滞。幸いに中央はほとんど渋滞が無く松本ICまでは順調。
ICを降りると158号線が渋滞。原因は分からない。
この状態が30分も続くのなら戻って乾徳山にでも登ろうかと話している内に渋滞は解消。
新穂高へは9時半頃着く。
先週停めることの出来た無料駐車場は朝3時には満車になったと係員が言う。
これだけでも山小屋の大混雑が予想される。
9時50分登り始める。途中追いついたかなり年上と思われる登山者と話しながらゆっくり進む。
今日はわさび平小屋で友人を待ち双六、三俣蓮華、鷲羽、水晶と裏銀座を縦走すると。
失礼ながら年を聞いたら72歳と。男の健康年齢の限界。
自分はこのままの体型では絶対に無理だろう。
日常生活を真剣に律して行かなくては完全に無理。
わさび平小屋で昼食。来る前に荷物の用意をしていたらコップが無い。最近本当に良く忘れる。
可能性のあるのはここしかないので駄目もとで、
「先週ここに泊まったのですが・・・」と聞いたら、ある。 信じられない。
山男は素晴らしいと再認識。
わさび平小屋の外にあるテーブルはほとんど埋まっていた。皆さんゆっくりしている。
ここ泊まりなのだろうか。
当初予定していた笠新道は日本アルプス3大急登と言われている。体力を考え、
距離はあるが比較的楽と思われるルートに変更。
泊まりの鏡平小山では3時間半。いたどり平、ししうど平と登りが続くが、
時間的に余裕があったので遅めのペース。
息が切れる事は無かった。登る人より下る人のほうが多い。
わさび平小屋泊まりか、それとも無理をして自宅に帰るのだろうか。
小屋まで数百メートルのところに登山者の一人が靴を脱ぎ、太腿からふくらはぎまでをしきりに擦っている。
痙攣を起こしたらしい。3人できたと言うが二人は先に行ってしまったと言う。
一人残り一人が山小屋に連絡すべきだと思うのだが。
連れがバンテリン軟膏を渡す。たっぷり塗って入念に揉んでいたが、かなり辛い様子。あと少しだから頑張って、ゆっくり来て下さいと言って先に行く。
最後の斜面を登り切ると右手間近に槍、穂高が迫って来る。槍は尖り、穂高はでかい。
チェックインすると食事は7時15分と告げられる。
普通なら5時食事で8時には消灯なのに。今晩は5thシッティングまである由。
最後の夕食は8時。
収容人員120名に対し2倍以上の登山者がいるのでは仕方が無いだろう。時間が有りすぎる。
例によって小屋の外のテーブルで槍穂を酒の肴に飲み始める。2人で飲んでいたが、席を探していた若夫婦を隣へ誘う。
陽が陰ってきたので寒くなった。ウィンドブレーカーにフリースを羽織ってちょうど良いくらい。
双六、三俣蓮華方面から霧が降りてくるが、槍穂の中腹より下に降り夕日に映えた山並みがくっきりとその姿を楽しませてくれる。先ほど倒れていた登山者が御礼にと言ってポケット瓶を差し入れてくれたので、気が付いたら槍穂がシルエットになるまで、トータル1本以上飲んでしまった。
山小屋の食事は概して期待はずれのことが多い。
ここの食事は翌日頼んだ2色の弁当も含め優の部類に入るだろう。空いていたらここでもおかずを肴に酒が進んだことだろう。
定員の倍以上の宿泊客だから蒲団は二人に一組。この年になってからアラカンの友と寝床を一緒にするとは思っても見なかった。ただ隣に寝るだけで恋人同士なら期待に胸を躍らせる事だろう。
一度目覚めるとあちらこちらかの鼾で再び寝付くのが難しい。もっとも小生の鼾は半端でないらしいので文句を言えた義理ではないが。
弁当を2つ頼んだ理由は朝食が5時からで早い者勝ち。250人近くの登山客がいるので何時に起き、どれくらい並んだらよいか予測が付かない。
日の出は5時半過ぎなのでそれまでに小屋を発ちたい。小屋を出ると快晴。
小槍、槍、中岳、南岳、長谷川ピーク、大キレット、それに続く北穂高、奥穂高、ジャンダルム、西穂高と続く穂高連峰の雄大な姿が眼前に迫る。本当にラッキーだった。彼らは今日一日中その姿を隠すことは無かった。
今年は本当に天候に恵まれなかったが、お釣を返し過ぎてもらったような気分。
5時20分鏡平小屋を出る。弓折乗越までの小一時間の辛い最後と気合を入れ、気を引き締めて登る。乗越は峠、コルと同じ意味。
槍穂を眺めながら朝食。近頃山小屋の弁当の中では白眉。
お酒が欲しいくらいであった。少しご飯が硬めだったが全て平らげる。
これからは雲上散歩と思ったが意外と上り下りが厳しい。それでも左に槍穂、左前方に焼岳、乗鞍岳、御岳、右前方から後方へ白山、黒部五郎、薬師岳、水晶岳、
鷲羽岳、双六岳、三俣蓮華岳を見ながらなので疲れを感じない。
笠新道の出会いで笠ケ岳山荘に泊まるか新穂高温泉まで一気に下るか、結論を迫られる。
出会いから往復約3時間。泊まる場合11時過ぎに今日の仕事?は終わる。酒好きの二人とはいえお天道様が天頂に付く前に飲み始め、夕方まで続けるのは後ろめたいし、身体にも良くない。
笠新道を下る事にする。ザックを下ろしペットボトル一つを持って笠ケ岳頂上へ向かう。10時50分笠ケ岳に到達。頂上からはさらに数え切れない名山が望まれた。甲斐駒ケ岳の左手に富士山、右へ北岳、仙丈岳、間ノ岳、塩見岳、荒川三山。
槍穂高の壁が無ければ更に20以上の名山が望めたに違いない。それを望むのは無理と言うもの。
このような天気にはもう2度と会えることは無いのだから。新穂高温泉に泊まるとなるとシルバーウィークの真っ只中。旅館、ホテル、民宿は満杯に違いない。
我が友は用意が良い。15軒以上の民宿などの電話番号をメモして来た。トライ続けること8件。
やっと空きを見つける。
焼岳の里という民宿。内容はどうでもよい。
温泉でゆっくり汗を流せればそれで良い。
笠新道の降り口で昼飯。杓子平までは垂直に感じるほどの急斜面。皆さん息を切らせて上ってくる。
1時前に下り始める。笠新道は下りでも神経を使うほどだから登る人は大変であろう。
我々の下りは順調だった。途中上り口まであと1時間くらいのところでこれから登っていく人に会う。
そのペースを考えると到底暗くなる前に笠ヶ岳山荘に着く無理。7時は優に過ぎるであろうと予想されるので他人事ながら心配になった。
温泉、酒と思いながら下り笠新道の登山口に付いたのが16時15分。
タイムテーブルとり1時間近く早い。新穂高ロープウェイ駐車場に着いたのは17時15分。
今日は食事時間を入れて12時間以上歩いた事になる。こんなしんどいスケジュールは飯豊山縦走以来。膝が良く持ってくれた。
民宿まで数分。空きがあっても当然?という感じであったが、掛け流しの露天風呂は良し単純硫黄泉でツンと鼻をついてくるのが良い。
しかも噴煙を流している焼岳は目の前にでんと構えている。いわなの骨酒これまた良し、食事も値段の割にはコストパーフォーマンスが良かった。露天風呂は24時間入れるので足を揉み揉み何回浸かったろうか。
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by shonanboy-no1ID
| 2009-10-11 15:56
| 登山